ちょっと税金の話
外れ馬券も経費と認めた最高裁判決

「競馬での払戻金約30億円を申告せず、5億7千万円の脱税事件として裁判になっている。」という記事を以前(平成25年6月号)書きましたが、覚えていらっしゃいますでしょうか。

この裁判の争点は、外れ馬券が必要経費になるのか否かというところでした。

「えっ?必要経費になるのが当たり前じゃないの?」と思われた方に少し解説しておきます。
所得税法では「所得」を9つに分類しています。例えば、サラリーマンが受け取る給与は「給与所得」、マンションや土地を貸して得る収入は「不動産所得」と分類されます。それぞれの所得の種類により、必要経費の考え方や税金の算出方法が違ってくるのです。

では、競馬の払戻金はどうでしょうか。福引きの賞金や保険の満期金などと同じで、一時的または偶発的に生じた所得として「一時所得」に分類されていました。
所得税法では、「一時所得」の必要経費は、「収入の発生に直接要した金額」と規定されていますので、「当たり馬券の購入費だけが必要経費だ!」と国税庁は主張していたのです。

今回は最高裁でも地裁、高裁の判決どおり、「外れも含めた馬券の購入が経済活動といえる場合は、外れ馬券の購入費も必要経費と認めるべきだ」とし、網羅的に多数回、馬券を購入する行為は競馬を娯楽として楽しむものとはいえず、もはや経済活動に当たるとして「雑所得」に分類しました。従来の国税庁の運用とは異なる判断を示した結果、納税すべき額は5,000万円まで大幅に減ることが確定しました。

所得の分類の違いで恐ろしいほど税額が変わるケースとなりましたが、今後は、競馬の目的が娯楽なのか経済活動なのかをどう見極めていくのかが、課題になりそうです。

吉田 茂
文責
代表 税理士吉田 茂
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